法的有効性について Legal validity
- 1 電子契約の有効性について
民法522条2項において、「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない」として、契約方式の自由を定めております。そのため、契約書を電子的に作成した場合であっても、原則として、契約は有効に成立すると考えられます。但し、「法令に特別の定め」がある場合、例えば、不動産の定期賃貸借契約(借地借家法22条、38条1項)など、契約の締結に書面性が求められ、かつ、電子文書で代えることができる旨の規定がないものなどについては、電子契約にて契約を締結することができない点には留意が必要です。したがって、一部法令の定めにより電子契約で締結することができない契約を除き、当社サービスにより締結された契約も契約として有効となると考えます。
- 2 民事訴訟での取扱い(真正な成立)について
電子文書の成立の真正については、電子署名及び認証業務に関する法律(「電子署名法」)に規定があり、同法2条1項の「電子署名」の要件を満たす電子署名が行われた電子文書であって、当該電子署名が同法3条の要件を満たすのであれば、署名又は押印のある書面の契約に民事訴訟法上真正な成立が推定されるのと同様に(民事訴訟法228条4項)、当該電子文書の真正が推定されることとなります。
当社サービスは、①当社の意思の介在なく、契約当事者の指示に基づき、当社が電子署名をPDFに付与するサービスであって、当該PDFの署名パネルを確認することにより、当社に電子文書の送信を行った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものとなっているといえ、電子署名法2条1項の要件を満たすと考えられること(総務省、法務省及び経済産業省令和2年7月17日公表「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法2条1項に関するQ&A)」〔 https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei_qa.html 〕参照)、及び ②送信者については、メールアドレスとID/PWの認証、受信者については、メールアドレスとSMS送信による二要素認証により、利用者の固有性は担保されることなどから、電子署名法3条の要件を満たすと考えられること(総務省、法務省及び経済産業省令和2年9月4日公表「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)」〔 https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html 〕参照。)から、当社サービスにより締結された契約は、二要素認証を受けたものであれば電子署名法に基づく推定の効力を受け得るものと考えます。
- 3 仮に電子署名法による真正性の推定を受けなかった場合の証明力
ユーザが二要素認証を用いなかったなどの具体的な事情により電子署名法上の真正性の推定を受けなかったとしても、 ①当社の電子署名が付されるため、内容の改ざんがないこと、②送信者についてはメールアドレスとID/PWにより、受信者についてはメールアドレスにより、固有性が一定程度担保されること、及び ③タイムスタンプが電子署名とともに付与されることで、受信者の承諾によるタイムスタンプ付与時点でいつ契約が締結されたかが担保されることから、当社サービスにより締結された電子契約は、①どのような内容の契約が、②誰と誰の間で、③いつ締結されたかという契約の成立を証明するのに必要な要素について、それぞれ十分な証明力を持ち得ると考えます(但し、③については、ユーザの選択によりタイムスタンプを付与しないこともできるため、かかる場合には、③の要素は他の事情により立証することとなるという点に留意が必要です。)。
上記は、ユーザの検討の便宜のために、当社サービスの通常の利用方法に従って電子契約が締結された場合の一般的な契約の有効性等について、法務アドバイザー(※)から得た法的見解を基にご提示するものでありますが、当社サービスを利用して交わされた個別の契約の有効性を保証するものではございません。
※ 法務アドバイザー 野村綜合法律事務所